蜜会 〜佳世子〜


 繁華街から少し離れたホテルの地下駐車場に、伊沢の愛車が入ってくる。
 助手席には、伊沢幹生の会社で秘書を務めている能村佳世子。オフィスから直行な ので、着ているスーツは替わっていない。
 四十近くなっても、伊沢は未だ独身を通している。自分の車に女性を乗せて走った ことはこれまで数え切れないほどだ。
 が、いまの車に限っては、これまで能村佳世子以外の女を乗せたことはない。
 車を停め、まず自分が降りる。そして助手席の方に回り、ドアを開けると佳世子が シートから身を乗り出した。ヒールがアスファルトを踏み、一時的に黒いストッキン グに包まれた脚が太股まで露わになる。
 佳世子は先ほどから、頬を少々赤らめていた。
 こうして二人でホテルに入るのは、もちろん初めてではない。
 社長と秘書という関係から暫し離れ、普通の男と女の関係になる。伊沢が佳世子を エスコートするような形で車のドアを開けたのも、役職や立場などがもたらす力関係 を一時的に忘れさせるものだ。
 とはいっても、セックスに限った力関係は、オフィスでのものと大差はない。
 チェックインを済ませ、エレベーターに乗った直後だった。
「あっ、ふぅんっ」
 佳世子の腰に回っていた伊沢の右手が、いきなりスカートに潜り込んだ。尻の方か ら大腿を撫でられ、女体がぴくんと反応する。
 エレベーターは上へ昇ろうとしていた。
「いやっ、こんなところで……やめてください」
 閉じられたばかりのドアを見て佳世子は少々安堵したが、伊沢の太い指先はすでに 秘所をノックしようと花びらをなぞっている。佳世子の頬は瞬く間に紅潮し、言葉と は裏腹に蕩けた表情へと替わり始めた。
「なにを言ってるんだ。ノーパンで男と一緒にホテルに入っているくせに」
 スカートの下で、佳世子の股間を覆うものはなにひとつなかった。
 パンティをはかずにホテルに来るということは、一緒にいる男に抱かれに来た―― そのことに他ならない。
「そっ、それは……でも、こんなところでは他の人に見られてしまいます」
 自分の弱みを突かれてたじろぐ姿を見せつつも、抵抗まじりの言葉が止まらないの は、佳世子の頭の回転が為せるものか。それとも、別の行為を望んでのことなのか。
 伊沢にとって、それはどちらでもいいことだった。
 エレベーターの操作パネルに手を伸ばすと、非常停止のボタンを強く押す。
 不意に、普段乗っている限りでは体感することのない振動が二人の空間を覆うと、 上昇が止まった。故障ではないので、復旧までの時間はさほど要しないだろう。
 しかし、二人きりで「閉じこめられている」時間は、間違いなく増すことになる。
 佳世子は観念したかのように、両脚の力を緩めた。
 すると伊沢は、佳世子のブラウスを手早くはだけさせる。黒いブラ ジャーをずらすと、豊かな乳房がこぼれ出た。すでに見慣れたものではあるが、掴ん だ指に吸い付くような感触は決して飽きさせない。
「あぁっ……!」
 ピンク色の可愛い乳首を口に含むと、みるみる硬く痼ってくる。
「あんっ、あぁんっ」
 乳頭を吸ったり舐ったりしながら、伊沢は佳世子の肢体を壁にゆっくりと押さえつ けた。
 壁を背にしながら両手をつく姿勢になった佳世子は、改めてスカートをたくし上げ られても抵抗しない。ガーターベルトと共に濡れそぼった秘唇が、伊沢の視界に入っ てくる。
「いやらしいオマンコだ」
「はぁんっ……」
 佳世子は喘ぎを漏らしながら、伊沢の行為を受け入れていた。相手はスーツなどの 衣服を一切脱いではいない。佳世子だけが胸をはだけ、股間を露出させている。見ら れて恥ずかしい秘密の部分を晒しているのは自分だけだった。
 そんな彼女に、男はさらに迫ってくる。
「次はどうしてほしい?」
 薄目を開ける。こんな狭い場所で女体を弄んでいる男が、さらに自分を辱めようと していた。淫らなおねだりの言葉を佳世子の口唇から搾り出そうとしているのだ。
「おっ、オマンコ……佳世子のオマンコ、い、いじってくださいぃ……」

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「佳世子のオマンコ弄ってほしいんだな?」
「はいっ……佳世子のオマンコくちゅくちゅいじってぇ……あぁーんっ!」
 伊沢の左手が、佳世子の股間を覆った。
 間もなく押し込まれた中指を、佳世子の密壷は滑らかに呑み込む。指先がやや乱暴 に前後運動を始めても、佳世子は痛がることなく愛撫に応える。
「あっ、あぁっ……あんっ、あんっ、あんっ!」
 狭い箱の中で、あられもない喘ぎ声と女性器の湿った音が響く。決して外に漏れる ことのない淫らなハーモニーを奏でる佳世子の身体から、いまの伊沢は明らかに夢中 になっていた。
 辱めれば辱めるほど、自分は魅惑されていく。
 与えた快楽に応えてどんどん走っていく能村佳世子に、自分が引っ張られていく形 で。





2004.6.24