愛玩具と覆面 〜雪子〜


「あぁっ、あっ、あっあっあっ……あんっ、あぁんっ……」
 ベッドルームに響く喘ぎ声は、もちろんわたしのもの。
 明るいベッドの上で胸と股間を露わにされ、男の舌と指に嬲られている。
「もうこんなにヌルヌルにしやがって、エロい女だな」
「あぁんっ!……あっ、あぁっ……」
 乳首を噛まれると喘ぎが高くなる。それに比例して荒くなっていく一方な男の息づかいを感じ取りながら、わたしは乳房に吸い付いている男の顔に目をやった。
 男は覆面……よくドラマで銀行強盗が出てくるシーンで強盗役が被っているような、見るからに怪しいとわかる目と鼻、そして口の部分だけが外に出るものをわたしの乳房に擦り付けていた。
「あっ、あっ……あんっ、あんっ」
 唾液まみれの乳首はもうぴんぴんに尖っていて、執拗に舐られている。弄られていない左側の乳首も愛撫を待つように盛り上がっていたが、まだそこは噛まれていない。
 下の方では、男の右手がわたしの股間を覆っている。二本の――おそらく人差し指と中指――が交互に花びらの中をさすっていた。
 くちゅくちゅ、ぬちゃぬちゃといったいやらしい音と愛液が溢れていて、男の右手はビショビショだと思う。
「縛られて、乳とおまんこ弄られて感じてるのか!?」
「あぁぁっ!」
 太い指が奥まで突き入れられて、わたしは全身汗まみれの肉体をわななかせる。
 男の言うように、わたしは両手を縛られた姿勢で悶えていた。
 わたしの両手首は頭の上の位置で、タオルでひとまとめに括られている。両腕が使えなくなっただけでふたつの乳房と女性器を簡単に嬲られてしまうようになったのが恐かった。
「あはぁ……あぁっ、あぁーんっ……」
 股間に男の手が割って入っただけで、両脚の力が抜けて抗えなくなってしまった。それどころか膣壁を何度か擦られただけで太股が開いて、あたかも闖入者を受け入れるような姿勢になってしまったのだ。
 膣内で前後している指が一本から二本になると、無意識に腰が浮いて男の手に股間を押しつけてしまう。
「あぁんっ! あんっ、あんっ、あんっ……!」
「もっとグチョグチョにしてやるよ」
 男は吸っていた乳首を解放すると、両腕をわたしの内股に差し込んで大きく拡げさせた。
「あぁっ、イヤぁっ!」
 明るいベッドの上で、愛液でヌルヌルになっているわたしのおまんこが再度晒された。透明で粘り気を含む涎を垂らしている花びらはもう綻んでいて、弄って欲しいと目の前の男に哀願しているように思われても反論できない。
 その中で先端だけ出ていた突起の部分を、男の舌が目ざとく見つけ舐め上げてきた。
「あぁっ……あぅっ、あぅぅーんっ!」
 舌先で器用に包皮を剥がれて、むき出しにされたクリトリスが乳首と似た要領で吸い付かれる。
「あぁんっ、あっあっあっあっあっ……あぅんっ、あんっ、あぁぁーんっ!」
 さらに吸盤のように蠢いている唇のすぐ下では、二本の太い指が再度蹂躙を始めていた。
 前後に出し入れさせながら、時折指を拡げて膣壁を擦る。さらに奥の方を刺激されると新たな愛液がどんどん噴き出してきて、恥ずかしい喘ぎ声が上ずってしまう。
「あぁぁっ……あっ、あっ、あんっ、あぁぁんっ……あーんっ、あんっ、あぁーんっ!」
 ふたつの恥ずかしい部分を一度に弄られて、わたしのおまんこは愛液を漏らしながら入口を綻ばせていた。
 男の指や舌よりも、太くて堅いモノでもっと蹂躙されたいと待ちわびている。それに相応しいモノを持っているのは、わたしではなく男の方だった。
「そろそろ、ハメてやるか……」
 おまんこから覆面が離れ、その代わりになにもつけていない男の下半身が近づいてくる。
 勃起した肉棒が反り返り、亀頭はよだれを垂らしてわたしの女陰を食い破ろうとするかのように咆吼していた。
「あぁっ、やめてぇ! それだけはぁ……!」
 わたしは言葉だけでも抵抗を試みたが、両脚を男の腕で固定された姿勢ではどうにもならなかった。
 さらに亀頭がわたしの花びらに触れると、わたしは腰を揺すって挿入を求める動きをしてしまう。
「入れるぞ」
「あぁっ……あっ、あんっ……」
 熱く滾った肉棒は、わたしの肉体に芯を通すかのように女陰の奥まで深々と貫いた。
「……あぁぁぁーっ!」
 お互いの股間が密着して、わたしのヌルヌルの膣壁が暴れるペニスをなだめるように包み込む。
 その感触を味わうようにゆっくりと肉棒の出し入れが始まると、弾む乳房のリズムに合わせてわたしの口唇から淫らなハーモニーが流れてくる。
「あんっ、あんっ、あぁーんっ……あっ、はぁんっ……あぁんっ、あぁーんっ」
「エロい身体だな、乳がぷるぷる揺れてるぜ」
 伸びてきた両手が、わたしの乳房を鷲掴みにした。
「あぁんっ! あっ、あっ、あはぁっ……あぅんっ、あっ、あはぁーんっ!」
 双乳には男の指が食い込んで、荒々しく揉みしだかれる。
 上気している乳首を乱暴に弄られても、痛くはなく喘ぎが高まるほど感じてしまうわたしの身体は、男のペニスを受け入れてしまった時点でわたしの身体でなくなってしまったのかもしれなかった。
「あぁんっ、あぅんっ……あんっ、あぁんっ、あーんっ……」
 一方的に責められるままなわたしのおまんこは、肉棒を突き入れられるたびに愛液を吹き出し始めている。
 涎を垂らしながら、躍動するペニスを一心不乱で頬張る淫らな陰唇。繋がっている部分を見せつけられながら出し入れされて、恥ずかしいけどすごく感じてしまう。
「気持ちいいか?」
「あはぁっ、はっ、はいぃ……」
 男の両手がふたつの乳房から離れて、今度は太股の裏側を掴む。
 直後、ペニスが膣奥の一番感じてしまう部分のひとつを探り当ててきた。
「んぁぁっ……!」
 ぴくん、と悶えるわたしの反応を男は見逃さず、亀頭をぐりぐりと押しつける。
「あっ、あぁーんっ!……あんっ、あっあっあっあっ……」

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  「おまんこイイ、おちんちんキモチイイって言うんだ」
「いっ、イイっ! おまっ、おまぁっ、おまんこっ、イイぃぃっ……!」
「おちんちんキモチイイって言え!」
 男が右手で、わたしのお尻を強めに叩いた。
「あぃぃっ! おっ、おちんちんっ、キモチイイですぅっ……あぁんっ、あぁぁーんっ!」
「尻を叩かれて締め付けてきて、いやらしい女だ!」
 ぱしっ、ぱしっと乾いた音がするたびに、恥ずかしい喘ぎがどんどん弾んでしまう。
 男の言う通り、わたしは無意識のうちに膣壁で肉棒を締めていた。お尻を叩かれたときだけではなく、突き入れられるペニスが奥の感じる部分を叩いたときも、身悶えながら快楽を訴える。
「あんっ、あんっ、あぁーんっ……しっ、しんっ、くぅぅんっ!」
 思わず愛する人の名前を呼んでしまった直後、わたしの上で男の動きが止まった。
 両手でわたしの膝をそれぞれ掴んだ姿勢のまま、股間を密着させて細かく律動している。
「あぁぁっ……あんっ……」
 膣奥で、熱いものが吹き出していた。
 直接は見えないけれど、わたしの子宮に向かってたくさんの精液が放たれたことは容易に想像できる。
 獣じみた欲望を正面から受け入れてしまったけれど、わたしの肉体を蹂躙していた男はこれまで何度もそれを許してきたというか、悦んで迎えていた相手だった。
「……ユキったら、いきなり名前呼ぶんだもんな」
 覆面を脱いだ進くんが、ぴんぴんに尖っている乳首をくにくにと弄った。
「あっ、あんっ……だってぇ……」
「ユキのおまんこ、すごくきゅんきゅんしてたよ。いつもより感じちゃってたのかな?」
 進くんは上気したままの乳肉を撫で回しながら、意地悪な問いかけを続ける。
「いやぁんっ……進くんだからぁっ、進くんだって、わかってたからぁっ……」
 いつもと違った感じのセックスがしたいからと、覆面の男に乱暴に犯されるシチュエーションを提案してきたのは進くんの方だった。責められているときは少し怖かったけれど、顔を隠してはいても見知らぬ男に汚されているわけではないとわかっていたから、普段とは違う刺激に肉体が反応してしまったのだと思いたい。
 思わずむくれたわたしの頬を、進くんは両手で撫でてくれた。
「……ごめんね、ユキ。じゃ、今度はうんと優しくしてあげる」
 まだ挿入された姿勢のまま、両腕で抱き上げられる。進くんのペニスは一度射精しても屹立したまま、わたしの膣内を再度深々と貫いていた。
「あはぁぁっ……あぅんっ。んっ、んぅっ……」
 口唇を塞がれ、差し入れられた舌を絡める。
 粘膜の部分で繋がり合い、素肌の部分はできるだけ密着させた。
 直後、なぜかわたしの身体にだけ間もなく大きな性感の波がやってきたのは、先ほど絶頂に達したのが進くんだけだったからだと気づくことになる。




2009.2.9