ハンカチの向こうの裸エプロン 〜千恵子〜


「ちえこさん……」
 その名前を頭の中で叫ぶたびに、右手で包むペニスが膨張しているかのような 感覚になる。
 脳裏にはこちらに語りかけてくる名前の女性、しかし翔太の顔を覆っているの は白いレースのハンカチである。
 自室のベッドで横になり、天井に向けて雄々しく咆哮する男根をゆっくりと扱 く翔太の意識が此処に在らずなのは間違いない。

「もう、おばさんにこんな恥ずかしい格好させて……」
 頬だけではなく、素肌まで紅く染まっているようにも思えるほど、千恵子の恥 じらう姿には惹きつけられてしまう。
「すごくきれいだよ、千恵子さん」
「……莫迦、変なところでお世辞言って」
 千恵子が身に着けているのは、エプロン一枚のみ。
 いつも通りすがりに挨拶を交わす際に見ることができる、シンプルなピンクの エプロンだ。
 ただ、あちらこちらに丸みが見られる――それは世間一般に「熟れた」と表現す るのだが――素肌の部分が露出した、いわゆる「裸エプロン」で目の 前に立って いる隣家の人妻に、翔太の視線は釘付けである。
「こんなに大きくして……」
 口許を綻ばせながら、千恵子は翔太の前で両膝をついた。
 目の前には、血管も顕わにそそり立つ翔太の男根がある。
 千恵子は膨張している幹の部分を両手でやんわりと包むと、亀頭に舌を添えつ つ口に含む。
 それが、しごく当たり前のことであるかのように。
 上目遣いで翔太の反応を窺うようなことはせず、千恵子は両目を閉じて肉棒を 味わっていた。
 口内では舌が忙しなく這い回り、敏感な先端や傘の部分を舐めあげる。
 男根を咥えたままの顔が軽く前後されると、翔太はたまらず腰を突き出した。
「うぅっ……」
 すると、千恵子はぱっと口を離し、ペニスの根元を強めに握る。
「まだ、出しちゃ駄目……」
 千恵子はすっと立ち上がると、近くのソファに腰を下ろす。
 そして両脚を大きく拡げて、エプロンの裾をまくって見せた。
「出すのは……こ・こ・よ」
 翔太の目の前で、憧れの人妻が大股開きになっている。
 自らヴァギナを拡げて、女陰の奥まで露わにすることで翔太のペニスを誘って いるのだろうか。
 翔太は自分でも見たことがないほど膨れ上がっている亀頭を、愛液で潤んだ陰 唇に押し当てる。
「そのまま、入ってきてぇ……」
 導かれるままに腰に力を込めると、湿った音とともに翔太の男根が突き入れら れた。
「あっ、あぁぁーっ!」
 亀頭から太幹まで、脈打つほど激しくいきりたっていたペニスを、千恵子の女 陰は造作もないかのように呑み込んでいく。
 翔太はエプロンからこぼれた乳房を揉みながら、夢中で腰を前後させる。
「あぁっ、あんっ、あぁんっ……いいっ、翔太くん、いいわぁ……」
 翔太の掌の奥で、乳頭が硬く尖っていた。
 経験のない翔太には、自分を受け入れている千恵子のことを気遣う余裕などあ るはずがない。
 しかし、人妻の肉体は乱暴に扱われていても快楽として受け入れてしまうようだ。
「あんっ、あぁんっ……あんっ、あんっ、しょ、しょうた、くぅっ、んっ!」
 翔太の律動に応えるように、千恵子の双乳が不規則にぷるん、ぷるんと上下する。
 それまで、己の男根を膣肉に擦り付けることに意識を奪われていた翔太だが、 目を開けた直後にツンと突き出た乳首が視界に入ってきた。
「はぁっ、千恵子さんの、おっぱい、おっぱい……」
 翔太の口唇が、目の前で不規則に揺れる――実際には翔太のペニスの出し入れに 反応しているだけなのだが――人妻の美乳に引き寄せられる。
 餌に食い付く魚のように、翔太は乳首に吸い付こうとするのだが、なかなか捕 らえられない。
 やっとのことで、腰を掴んでいた片手を再度乳房に持っていく。
 乳肉に指を食い込むほど強く掴むことで、乳首を固定した。
「ちくびっ、ちくびっ……!」
 憧れの人妻の乳首を吸う。
 本来ならば、挿入する前に体験しておくことだったのかもしれない。
 ようやく口に含むことができた千恵子の乳首は、触れた直後は柔らかかったも のの、実際は芯が入ったように硬かった。
「あぁっ……! あぁんっ、あんっ、あんっ……あっ、あぁーんっ……」
 喘ぎ声のトーンが上がる。乳首を吸われたことでさらに感じているのは、翔太 でもわかる。
 ただし、膣肉の締め付けが強くなったことには、まだ気づいていない。
「あぁんっ、あんっ、あんっ、あぁーんっ……あっ、あっ、あっ、あっあぁぁっ……!」
 千恵子は身体をよじらせ、ソファの表面に爪を立てている。
 普段の落ち着いた振る舞い、穏やかな物腰といった淑やかなイメージを映す要 素はほとんど吹き飛んでしまっていた。
 いま翔太の前にいる千恵子は、男子高校生のペニスを女陰で受け入れながら、 乳首を吸われて悦ぶ娼婦のような存在になっているのだ。
「あんっ、あぁんっ、しょうた、くんっ、しょうたっ、くぅんっ……あぁんっ、 あぁぁーんっ!」
「はぁはぁ、ちえこさん、ちえこ、さぁんっ!」
 交わっている相手の名前を声に出すと、さらに気持ちが昂ぶる。
「あぁんっ、きてっ、きてぇっ……」
 白い両手が伸び、翔太の頬に添えられた。はっと顔を上げると、両目と口を半 開きにして悶える千恵子の表情が間近に入ってくる。
「おばさんのナカに……あんっ、あんっ、いっぱい……だしてぇぇっ!」
 お互いに繋がっていた部分が、激しい収縮と膨張に襲われる。
 翔太はそれまで、下半身ではペニスをこすりつけることだけに夢中で、千恵子 の膣内が細かく反応していたことには無頓着だった。が、ペニス全体を 絞り上 げるかのような動きは「異変」のように思えても仕方がない。
 膣奥に亀頭を押し込んだまま、翔太は全身を痙攣させていた。
 いままで体感したことのない絶頂感が、翔太の股間から全身に広がっていく。
「あっ、あっ、あぁぁっ……あんっ、あんっ、あぁぁぁーんっ!」
 千恵子も翔太にしがみつくような姿勢で、久方ぶりの絶頂を味わっていた。
 子宮へ撃ち出された翔太の精液を、すべて受け入れながら。

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「はぁっ、はぁっ……」
 射精による絶頂感が、少しずつ薄れていく。
 走り込みをした直後ほどではないが、息が切れる。
 冷房が淡々と動いている。自分以外に息遣いが感じられるのはそれしかないこ ともわかる。
 口の中が、異様に渇いていた。
「あ……」
 翔太の意識を向こうの非現実から最初に呼び戻したのは、左手のちょっとした 違和感だった。
 射精の直前にペニスをティッシュで覆ったはずなのだが、まだ温い精液が漏れ て左手まで滑っている。
 思わず左手に付着した精液を拭う。
 拭ったものを確認すると、翔太ははっと跳ね起きた。
「やっちまった……」
 白いレースのハンカチは、帰宅する前に千恵子から借りたものだった。
 家に着く直前に雨脚が強まり、たまらず隣家の玄関前に雨宿りをした際に千恵 子と鉢合わせしてしまった。
 同じく買い物から戻ったばかりの千恵子は、先にハンカチを貸してくれた後、 奥からタオルを持ってきて丁寧に拭いてくれた。
 やがて雨脚が弱まるのを待って帰宅、借りたままのハンカチをおかずにしてし まった次第である。
「千恵子、さん……」
 タオルを当ててくれたとき、独特の甘い匂いが流れてきた。
 無論、股間が熱くなった。
 あの時、千恵子とどんなやりとりをしたのか全く思い出せないのは、怒るのと は全く違う意味で頭に血が上っていたのだろう。
 精液が付着したハンカチを一旦置き、少し萎えたペニスにティッシュをあてがう。
 部屋着のジーンズをはき直すと、翔太はレースのハンカチを手に洗面所へと向 かった。




2010.8.21