母とよばれて 〜啓子〜


「まったく……あなたがろくに勉強していないものだから、恥をかいてしまったわ」
 啓子の吐き捨てるような声が、放課後の廊下に広がっていた。
 三者面談期間となっている現在、自分たちと似たような親子が並んでいる光景 は校舎のところどころで見ることができる。
 昔から紳一にとって、授業参観や三者面談といった親が学校にやってくるイベ ントは好きではない。
 普段あまり嗅ぐことがない、香水や化粧など匂いの類が少々苦手なのだ。
 そこに今回は、紳一にとってもうひとつ嫌な要素が上乗せされていた。
 自分の前を歩く母親……正確には「継母」の啓子である。
 昨年父親が再婚すると言い、当時三十歳になったばかりという啓子を連れて来た。
 父の再婚に不満はない。幼い頃に離婚して、ここまで男手ひとつで一人息子で ある自分を育ててきてくれたことには感謝しているし、新たに好きな女性を見 つけてきたことも良かったと思う。
 ただ紳一個人としては、どうも彼女とは反りが合わないというか、いろいろ鼻 につく部分が多かった。
 中小ながらも企業を率いる父親の元秘書で、学歴は紳一よりもはるかに上。優 等生とは言い難い紳一とは対照的である。
 だからなのか、伸び悩んだ成績表を見ては小言を投げつけ、散らかった部屋に 入られては汚いと嫌味を言われる。
 それでいて自分のことは「お母さんと呼びなさい」と、基本的に上から目線。
 炊事や洗濯といった、母親としての役目はほぼ完璧にこなしている。夫の目を 盗んであれこれ、といった不審な行動も確認できない。
 ルックスも良く、才色兼備という言葉を体現していると紳一も認めざるを得な い。自分を除く周囲の評価は「理想の再婚相手」「良い継母」だった。
 ただ、どうにも敬意らしきものを抱きづらいのは、やはり自分に対する「当た りの厳しさ」からだろうか。
 勉強等、自分のやるべきことを怠っているわけではない。自分なりに頑張って いるつもりなのだが、成績表の数字は一進一退続き。
 そのたびに「努力が足りない」と叱られ、試験答案の誤りを細かく指摘される。
 父の再婚までは多少ルーズだった生活習慣が、啓子の入居によって百八十度転 換され、心からリラックスできるのは継母がいない状況での自室といっ ても過 言ではなかった。
 同居するようになってから一年以上経つが、紳一が未だお母さんではなく啓子 さんと呼んでいるのは、ささやかな抵抗といえる。
 ただ、紳一が啓子をお母さんと呼べない理由はそれだけではなかった。
 ひとつ屋根の下で暮らしている以上、彼女を目にする機会が多いのは当然である。
 場合によっては薄着であったり、半裸ないし全裸であるのをハプニングや覗き で目にしたりもする。そうでなくても豊かな胸や、スカートから伸びる 両脚が 頻繁に視界に入ってくる。
 つまり「母」よりも「女」として、啓子という存在を意識せざるを得ない状況 が多いのだ。
 密かに集めているエッチな漫画やDVDの類も、出ている女性の年代が総じて 高めになっている気もする。
 人妻や熟女、義母・継母と表記されているものが目立っていたり、OLや秘書 と載っているものも啓子の結婚前を意識したシチュエーションでないと は言い 切れないだろう。
「……ちょっと、聞いているの?」
 刺すような鋭い声が、紳一の意識を引き戻した。
 目の前で、啓子がこちらを睨み付けている。眼鏡の奥で射抜かんばかりの鋭い 瞳が、紳一を釘付けにしていた。
 すでに校舎の玄関におり、啓子はスリッパからハイヒールへと履き替えようと しているところである。視線を下げれば黒のストッキングに包まれた継 母の美 脚が入ってくるのだが、いまの紳一にそれは難しかった。
 これまで、幸いにも「決定的」な状況には直面していない。
 例えば着替えを覗いていたのがバレたとか、下着を盗んでしまったとか、継母 を性欲の対象として見ていると啓子に認識されるような事例は出してい ないは ずであった。少なくとも紳一の知る限りではあるが。
「人の話を聞いてないから、まともに成績も伸びないのよ」
 紳一が別の意味で葛藤していることなど、啓子は当然気に留めるはずがない。
 ため息をついてからハイヒールを履き、さらに告げる。
「帰りは別々にして頂戴」
「え?」
 最初から一緒に帰ろうとは思っていなかったが、改めて言われると何事かと反 応してしまう。
「何を考えてるのかは知らないけど、呆けてついてくるあなたと一緒に歩くのは 危なっかしいし、なにより恥ずかしいから。それじゃ、変な寄り道はせずに帰 るのよ」
 やや長い言葉を一息で置いていき、啓子はこちらに目もくれず足早に去って いった。

「……ただいま」
 紳一が家に戻ってみると、当然ながら啓子もすでに帰宅していた。
 ただ服装は三者面談時のスーツ姿から変わっておらず、リビングのソファに腰 掛けている。
「お帰り、ちょっとそこに座りなさい」
 啓子は対面のソファへと、紳一を促す。
 待っているのは小言か嫌味か、先ほど学校で交わした剣呑なやり取りの続きで あることはほぼ間違いない。
 啓子は手にしていたティーカップを置くと、脚を組み直した。
「紳一さん……あなた、このままじゃ大学入れないんじゃなくて?」
 眼鏡の奥から、冷たい視線が伸びてくる。
 紳一が言葉を返せないのを酌み、啓子は続いて口を開く。
「本当に勉強しているの? いや、勉強だけじゃなくて、将来あなた自身にとっ て役に立ちそうなこととか、しているのかしら」
 口調が少しずつ速くなる。エンジンがかかるといった表現がわかりやすいかも しれない、と紳一は感じていた。
「学校は単に受験勉強するためだけの場所じゃないのよ? 友達を作ったり、先 生と話したりしてコミュニケーションを学んだり、いろいろなことを試 したり する創造の場所でもあるの。何も考えずにただ机に座って、ノートに写している だけじゃ時間の無駄よ」
 よく言われる「つまらない正論」とは一線を画した物言いのように思えるが、 紳一にとっては大差ない小言の類だった。
「お父さんはあんなに頑張っているのに、あなたは何も考えずに学校と家を往復 するだけ……どうせ、部屋でもろくに勉強してないんでしょう?」
 小言に少しずつ嫌味が混じり始め、段々と聞き流すのが大変になっている。
「この間も掃除に入ってみたら、いやらしい本やDVDがいっぱい出てきたわ ね。ベッドの下、机の一番下の引き出し、押入れの棚……これって、思春期の子 のお約束なのかしら?」
「なっ……!?」
 こればっかりは聞き捨てならず、さすがに紳一も顔を上げた。
 目の前の継母は、睨むというより見下しているかのような瞳と、多少綻んだ紅 い唇。
 たまに耳にする「唇の端が吊り上がった笑み」とは、いまの啓子を指している のかと直感してしまう。
「もしかして、お小遣い、みんないやらしいのやゲームに使っているの?」
「……うっ、うるせぇ! そんなの、あんたには関係ないだろ!」
「あら、そんなことないわよ。あなたのお小遣いはどこから出ているの? アル バイトなんて、してないでしょう?」
 紳一が声を荒げても、啓子は両脚を組んだまま優位を崩さない。
 お説教の範疇を超え、ただの中傷・侮辱となりつつあることをわかってのこと なのか。
「学校でたいしたこともやらずに、お部屋でひたすらシコシコ、かしら? 溜め 込んでるアレをおかずに……ふふっ」
「うるせぇぇっ!」
 だんっ、と紳一がテーブルを叩いた。
 ティーカップの紅茶が多少こぼれたものの、啓子は一時的に口を閉じただけで 驚く素振りは見せない。
 紳一の方は肩で息をしており、かなりイライラしているのが一目瞭然である。
「……それに『あんた』じゃないでしょう? 私のことは『おかあさん』と呼びな さいって、何度言ったらわかってくれるのかしら。母親の言うことも聞けない ようじゃ、勉強なんてわかるはずもないんでしょうね」
 啓子がため息をつきながらさらなる侮蔑を吐き捨て、両脚を組み替えようとし たとき。
「……くそぉっ、くそぉぉっ!」
 紳一の口から聞いたこともない怒声が発せられ、啓子はソファから引き摺り下 ろされていた。
 一瞬、かつ想定外の出来事だったので、啓子には何が起こったのかがすぐには 把握できなかった。
 啓子の認識を確かなものにさせたのは、紳一の手がブラウスを裂いた音――正確 にはボタンが千切られた独特の音であった。
「やっ……やめてっ、やめなさいっ!」
 ボタンが床に飛び散り、啓子は前をはだけた姿で紳一に組み敷かれる。ブラウ スの裾が掴まれ、引き裂かれる音が不思議に鮮明だった。
「やめなさいっ、やめてっ、やめてぇっ!」
 やがて布地が裂ける音が止み、室内に響くのは啓子の声だけになった。
 紳一はさらに啓子の身体にのしかかりながら、ブラウスの中をまさぐる。
 ブラジャーが剥ぎ取られ、両の乳房が露わになると、啓子は夢中で右腕を振っ ていた。
 乾いた音が響いた直後。
(ぱぁんっ!)
 啓子の頬でも、火花が散る。
 張り返された。
 血が繋がっていないとはいえ、息子である立場の者に殴られたのである。
「へへっ……」
 紳一は継母の上で、見たこともない笑みを浮かべていた。
 親に手を上げたこと、なによりこれから親を犯そうとしていることなど、一切 悪びれる様子もないように思われる。
 抵抗が緩くなった継母から、紳一はショーツも一気に剥ぎ取った。
「ひぃっ!」
 思わず、啓子は両手で顔を覆う。
 これまで同居してきて一度たりとも見ることがなかった、継母の乳房と股間が ついに曝け出されたのだ。
 それは、紳一だけでなく啓子にとっても同様であった。
 すでに、息子は己の股間――ペニスをそそり立たせている。夫のモノよりも大き いと思われるイチモツが、継母の痴態を見て咆哮しているのがわかる。
 息子に女性経験があるか否かは、いまの啓子の知るところではない。
 ただ、紳一のペニスが自分のヴァギナに挿入されようものなら、平静でいられ るはずがないのは想像がつく。
「想像した通りだ……やっぱり、いい身体してるな」
 一方、紳一は先ほどまでの怒声や奇声は一切発することなく、不気味なほど冷 静だった。
 抵抗の中で頬を張られた際、反射的に張り返した直後だろうか。
 目の前の光景が自分にとってこれ以上ない、かつ引き返すことができない状況 であることを呑み込んでいた。
 まるで、ここまでの流れを俯瞰していたかのように。
 紳一は再度啓子に覆い被さると、初めて目にする継母の乳房を掴み、乱暴に捏 ね上げた。
 乳肉が紅潮し、息子の手の中でたわむ。
 乳首を息子の口に含まれると、啓子の身体がぴくんと震えた。
「あぁっ……!」
 頬を張り返されてから、なぜか思うように力が入らない。
 すでに両脚は拡げられていて、陵辱者と化してしまった息子に抱えられる姿勢 になっている。
 股間では時折熱い肉棒が押し付けられたり、女陰も刺激されていた。
「あぁんっ……あっ、あっ……」
「急に可愛い声出しちゃって、さっきまでの威張り声はどうしたんだよ?」
 乳房がぐいぐいと揉みしだかれる。愛撫と呼ぶには程遠く、珍しい玩具を弄っ ていると表現すべきか。
 指の間にたわんだ乳肉や乳首、視点をずらすと変貌した息子に怯える継母、そ して股間では痛いほど勃起した己の肉棒。
「へっ、へへっ……!」
 紳一は自分のペニスを軽く掴むと、激しく膨張している亀頭を啓子の股間に向 けた。
 啓子は息子の次の行動を察知し、身体を離すべく両腕に力を入れる。
 乳房に食い込んでいた指が抜けると、啓子はうつ伏せ気味になりながら離れよ うとする。
 しかし、紳一は咄嗟にスカートを掴む。両手・両膝をついたいわゆる四つん這 いの姿勢で、啓子は身動きを封じられた。
 紳一は両手で啓子の腰をしっかり固定しておき、亀頭を継母の股間にあてがう。
「……やめっ……!」
 濡れていた女陰に向かって腰がまっすぐ突き出されると、啓子のヴァギナは信 じられないほど滑らかに息子のペニスを呑み込んでいった。
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「あぁっ、あぁぁっ……!」
 室内に響く物音が、床を叩く低い音から水気を含んだ音に変わる。
 紳一の下では、啓子が自分の男根を受け入れ身悶えていた。
「あんっ、あんっ、あぁっ、あっ、あぁんっ……」
 先ほどまで自分を見下し、嘲りの言葉ばかり投げかけていた継母が、自分の挿 入の動きに合わせて尻を振っているのである。
 少し前に見たDVDの中で「どんな女もオマンコにペニスを入れれば淫らに、 かつ従順になる」と誰かが言っていたのを、紳一はなぜか唐突に思い出 していた。
 もちろん男に都合の良い妄想なのだが、いまの継母の痴態を見ていると妄想と 片付けられない気もする。
「あぁんっ、あぁーんっ……やめっ、やめてぇぇっ……あっ、あぁーんっ!」
 ペニスを挿入してから、啓子の抵抗は哀願に変わってしまっている。甘い喘ぎ に拒否や抗議が混じっていても、紳一を余計に昂ぶらせるだけだ。
「へへっ、オマンコ……かあさんのオマンコ、気持ちいいよ……」
 その紳一の言葉の直後、啓子のヴァギナが急に締まった。
「おぉうっ!?」
 不意を突かれたかのように、紳一が高く呻いて身体を反らせる。
 間もなく、啓子の膣内で熱い感触が染み渡っていく。膨張から弾けた亀頭が精 液を噴き出したのだ。
「……いやぁぁぁっ!」
 啓子は殴られてからというもの、身体での抵抗がほとんどなくなっていたが、 こればかりは許されないと脱力しかかっていた全身に力を込める。
「かあさんに……かあさんに中出し……」
 紳一の言葉はほとんどうわ言に近かったが、全身の力は啓子の抵抗にはびくと もしなかった。
 継母の肉体をしっかりと抱きかかえ、亀頭を膣奥に押し付け精液を注入する。
「うぅぅっ……あんた、なんかぁ……」
 それまでセックスの快楽に溺れていると形容されても仕方のない啓子の反応 だったが、膣内への射精で逆に意識がはっきりとしたのか、自分を見下ろす陵 辱者と化した息子を睨み返した。
「あんたなんか、息子じゃない……かあさんなんて、呼ばれたく、ないっ……!」
「へえぇ……」
 紳一は萎縮するどころか、啓子を見下ろしたまま薄ら笑いを浮かべている。
「急にかあさんなんて呼ばれて、感じちゃったの?」
「……そんなっ……!」
 視線を逸らした継母の反応を見て、紳一はなおペニスを奥へと突き入れた。
「あぁぁっ!」
「すげぇ気持ちいいよ、おかあさんの……オ、マ、ン、コっ!」
 一度射精しても勃起がほとんど治まらないのは若さからか。
 首を振って抗う継母の姿を嘲笑うかのように、紳一は啓子の女陰をさらに激し く突き上げた。
「いやぁっ……いやっ、あんっ、いやぁっ、あぁんいやぁぁ……」
「かあさん気持ちいい? ねぇ、どうなのさ、おかあさん?」
 左手で乳房を揉みしだき、肉棒で膣内を弄りながら、紳一は継母の耳に顔を近 づける。
「いやぁぁっ、あんっ、あんっ、あぁーんっ……」
 かあさんと呼ぶ度に、啓子の膣肉が締まるように思えるのは気のせいだろうか。
 紳一は衰える気配のない己の欲棒を、眼下の継母に打ちつける。
「あぁぁっ……あんっ、あっ、あっ、あぁっ……」
「おかあさんのオマンコ、すげぇ気持ちいいよ」
 膣奥を止め処なく責め立てられ、半開きの口唇から甘い声を漏らしながらも、 啓子は自分を呼ぶ声だけははっきりと耳にしていた。
「いやぁ、そんなこと言わないでぇ……あぁんっ、あんっ、あんっ」
 それまで自分を母と呼ぶことなどほとんどなかった血の繋がらない息子が、性 器で繋がりながら母と連呼する。
 継母が子にレイプされるという極めて異常な状況だったが、啓子の抵抗は言葉 だけであった。少なくとも陵辱している当の紳一にとっては、いやいや と言い ながらも尻を振って悦んでいるようにしか見えない。
「かあさん……父さんとするときも、こんな感じなの?」
 紳一は耳元でいやらしい質問を投げかけてから、ペニスを深く突き入れた。
「あぁぁっ!……きかないで、あんっ、あんっ、訊かないでぇ……あっ、あぁーんっ!」
 当然のことながら、夫からこんな仕打ちをされたことはない。荒々しく抱かれ たことはあったが、無論同意の上である。
 リビングで押し倒され、頬を殴られ、衣服を引き裂かれ、獣のように犯された ことなど、あるはずがなかった。
「あぁんっ、あぁっ、あぁーんっ……あっ、あっ、あぁーんっ……」
 だからこそ、こんな状況でも悶えている自分が信じられない。
 陵辱者を愉しませるかのように、甘い声と濡れた女陰で応えている自分が憎ら しい。
 快楽に耐えなければならないのに、受け入れ悦んでいる自分が許せない。
「うおぉっ、おぉぅっ……」
 紳一がまた呻くと、膣奥への突き上げが再度速く、激しくなる。
「だっ、だめぇぇっ!」
 瞬間、啓子は紳一の意図を悟っていた。
「だめぇっ、出さないでぇっ! ぬいてっ、あぁんっ、抜いてぇぇっ!」
 今度は抱きかかえるように腕を交差させ、両方の乳房を鷲掴みにされた。
 亀頭を膣奥に押し付けるような腰の動き。再度の膣内射精を企んでいることは 明白だった。
「いやっ、いやっ、いやぁぁぁーっ!」
「おぉぉぉぅっ……!」
 紳一の下半身が再び大きく震え、啓子の膣内で亀頭が跳ねる。
「あぁっ……いやぁぁぁ……」
「かあさん、おかあさぁぁん……」
 自分を呼ぶ声と、子宮口に浴びせられる精液の感触が、啓子の意識を保ってい た。



2011.5.23