誘う愛玩具 〜雪子〜


 わたしのクローゼットには、ちょっと人には――正確には彼以外の人には見せられないようなスペースがある。
 そこはいつも開けるたびに少し恥ずかしい気分になってしまうのだけれど、反面これからがすごく楽しみに思えてくるようになってしまったのが、正直なところ。
 だって、まずそこを開けるときのわたしは、裸になっていることが多いから。
 さらにとてもこんな格好で一日を過ごす気にはなれない、少なくとも外に出ることなんてできるはずがないもの――そう、ベビードールがたくさんかけられているところ。
 そしてベビードールを選ぶということは、平たく言ってしまえばこれから彼に抱かれるということ。誘う、と言っては身も蓋もないのだけれど、やっぱり肌が透けるエッチな格好を彼が好むのは確かだと思う。
 第一、並んでいるベビードールのほとんどは彼が選んだもの。二人で一緒に買いに行くこともあれば、通販で密かに買って持ってくることもある。
 でも今夜着ようと思っているのは、わたし一人で選んで買ってきたもの。
 たぶん彼――進くんも、このベビードールを着たわたしを見るのは初めてだと思う。
 似合っているかどうか、そしていやらしいかどうか。
 期待と不安が、それぞれ半分ずつかな。

「……おかえりなさい」
 玄関で出迎えたわたしを見て、進くんの動作が一瞬、不自然に止まった。
 いまのわたしは白いベビードール――もちろん布地は透けていて、乳首が見えてしまう。もっとも、乳首が透けないベビードールなんて、わたしは知らないけれど。
 反応をうかがっているわたしの身体を、状況を呑み込んだ進くんは舐めるように見渡している。すごくいやらしい視線だけど、彼なら無条件で許してしまう。
「ベビードールにノーパンなんて、大胆だね」
「えっ……!?」
 わたしは思わず腰から下の部分を確認していた。
「いっ、イヤぁんっ!」
 直後、頬が沸騰したみたいに熱くなってしまう。
 進くんが言った通り、いまのわたしの姿は白のベビードールにストッキングだけで、パンティははいていなかった。いつもは履いているはずなのに……新しいベビードールのことで頭が一杯で、忘れてしまったとしか考えられない。
 なにより、パンティを履かずに玄関先に出てくるなんて――自分のしたことが一時的に理解できなくなって、両手で股間を隠したまましゃがみ込んでしまったわたしの前に、いきなり進くんの肉棒が突き出されてくる。
「ユキがあんまりエッチな格好してるから、もうこんなになっちゃったよ」
 ごちゃごちゃにだった思考が瞬時に止まって、わたしの視線は進くんの大きなペニスに釘付けになっていた。
「まずは、ユキの上のお口でご奉仕してもらおうかな?」


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「……はい」
 反り返っている太幹を包み込むように握って、亀頭に舌を伸ばした。
 尿道の入口を舌先で弄ってから、濃いピンクの部分を舐め上げる。ぴくぴくと反応しているおちんちんをゆっくりとしごくと、さらに硬くなってきた。
 たっぷりと唾液を塗して、亀頭全体を口唇で覆う。
(これからこのおちんちんで、いっぱい、いじめられちゃうのかなぁ……?)
 そんなことを考えていると、ノーパンの下半身が熱くなってくるのがわかる。
 フェラチオをしながら、もうおまんこに挿入されることを期待しているなんて――上と下のお口、口唇と陰唇が連動しているみたい。
 おちんちんから先走りのような味を感じてきた頃、進くんはわたしの頭を自分の股間から離した。
「さ、壁に両手をついて」
「はい……」
(いまから、後ろから犯されちゃうんだ……)
 わたしは従順に応じて、前屈みの姿勢でお尻を突き出した。



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2008.3.19